概要
第1話はこの物語の設定,および頻出の用語を理解するためのウォーミングアップとなっている.
冒頭
オープニングテーマ『abnormalize』*1が流れる中,主人公の1人である狡噛慎也の戦闘シーンから始まる.後半では,狡噛慎也と槙島聖護が対面し,お互いの名前を呼び合う.この冒頭部分により,物語の中心人物である狡噛慎也と槙島聖護との因縁が印象付けられる.
舞台(設定)
舞台は西暦2112年の日本.厚生省が管轄する「シビュラシステム」*2が,人間の心理状態や性格的傾向を計測し,数値化することで「管理」する社会となっている.
サイコパス(PSYCHO-PASS)とは
アニメ内で使用される「サイコパス」という用語は,リアルな世界で我々が使用している言葉とは意味合いが異なる.エンディングテーマの最後には,次のようなテロップが出てくる.
「人間の心理状態や性格的傾向を計測し,数値化できるようになった世界.あらゆる心理傾向が全て記録・管理される中,個人の魂の判定基準となったこの測定値を人々は,『サイコパス(PSYCHO-PASS)』の俗称で呼び習わした.」
つまり,「サイコパス」は個人の魂の判定基準となる測定値のことである.
色相とは
サイコパス色相とも呼ばれ,生体反応の計測値が,「色」として視覚化され,日常的なメンタルケアの指標となっている.街頭スキャナーでスキャンするのはこの色相.
犯罪係数とは
シビュラシステムにより数値化されたパラメータの一つであり,個人が犯罪者となる可能性を示す数値.この犯罪係数が規定値を超えた者たちは潜在犯と呼ばれ,社会的に隔離される対象となる.
事件の概要
容疑者,大倉信夫.街頭スキャナーで色相チェックに引っかかり,セキュリティドローンにセラピーを要求されるも拒絶し,廃棄区画に逃亡.また,逃亡中に通行人1人を拉致し,人質にしている.
監視官と執行官
監視官と執行官にはそれぞれ役目がある.
まず執行官とは,本来ならば潜在犯として隔離されるべきところを例外的に認められた社会活動として,同じ犯罪者を駆り立てる役目を与えられた猟犬のこと.そして監視官は,執行官たちを監視し,束ねる羊飼いのこと*3.
実際,作戦中のコードネームとして,執行官たちは「ハウンド(猟犬)」を用い,監視官たちは「シェパード(羊飼い)」を用いている.
登場人物では,常守・宜野座(ギノザ)が監視官であり,狡噛・征陸(マサオカ)・縢(カガリ)・六合塚(クニヅカ)が執行官である*4.
ドミネーター
携帯型心理診断鎮圧執行システム・ドミネーター.照準を合わせた対象の犯罪係数を計測することができ,その犯罪係数を基に執行モードが変化する.犯罪係数が100以上で執行対象となり,執行モードは,100~299でノンリーサル・パラライザー(対象を殺害せずに気絶させる),300以上でリーサル・エレミネーター(対象を殺害)となる.実は,ドミネーターにはもう一つ執行モードが存在するが,またそれは登場時に紹介する.
サイコハザード
犯罪係数は性質上,伝染する.つまり,犯罪に巻き込まれた被害者の犯罪係数が上昇する可能性もある.
シビュラを盲信しない朱の姿勢
狡噛が容疑者をドミネーターで排除したのち,征陸は犯罪係数が上昇した被害者女性を保護対象としてノンリーサル・パラライザーで執行しようとする.しかし,朱は乱暴な手法に納得がいかずこれを止める.
狡噛に追い詰められた被害者女性は更に犯罪係数を上昇させ,ドミネーターの執行モードもリーサル・エレミネーターに切り替わる.被害者女性を排除しようとする狡噛を止めるため,朱はパラライザーを放つ.
これら一連の行動から,朱は常に何が正しいかを自分自身で考え,シビュラシステムによる御託宣を鵜呑みにしないという姿勢が窺える.
狡噛の口パクシーン
被害者女性を排除しようとする直前,狡噛は朱に向かって何か呟く.口パクの内容はわからない.個人的には「嫌なら,撃ってみろ」のような挑発的な発言ではないかと考えている.
感想
今回は第1話の要点を解説した.初めて作品に触れる視聴者からすると,情報量が多く,困惑した方も少なくないと思う.特に,「サイコパス」,「色相」,「犯罪係数」といった用語は非常に紛らわしい.